研究会活動報告
| 2008.07.15. | 第三回研究会 ・「非正規組織化をナショナルセンターの課題にして」 寺間誠治さん(全労連組織局長)講演 |
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| 2008.06.17. | 第二回研究会 ・「非正規労働を考える」 龍井葉二さん(連合非正規センター事務局長)講演 |
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| 2008.05.12. | 第一回研究会 ・中小労働運動「08 春闘の現状と問題点」 遠藤一郎さん、片桐晃さんを招き議論を深める |
「非正規労働を考える」
龍井葉二さん(連合非正規センター事務局長)講演
6月17日におこなわれた「現代の労働研究会」では、講師に龍井葉二さんを迎え、非正規雇用問題についての考え方を聞いた。この文章は、龍井さんの問題意識を荒削りにまとめたもので、お話には賃金論などが緻密に展開されていたことを付記しておく。
(文責・江藤正修)
現在の非正規雇用問題は、日本の雇用システムや福祉システム、あるいは家族を中心としてきた共同性などが壊れてしまった結果として生じた問題である。非正雇用はいまに始まったことではない。ところがそれが社会問題として登場したのは、1997~98年だと思う。ここから正規が減って非正規が急上昇する。しかも質的にも大きく変わった。職場の中で正社員がやっていた仕事を非正規社員がやる。あるいは正社員であるべき人が非正規社員になっていく。
もう1つは「新時代の日本的経営」にかかわる問題。「新時代の日本的経営」でいう「専門能力活用型」(Aタイプ)。専門性があるので一定のスキル、一定の賃金を得ている人たち。2つ目が「蓄積能力活用型」(Bタイプ)の類型。年数を重ねることでスキルが上がり、賃金も上がる。3つ目は初めから低い賃金で、勤続を重ねてもスキルが上がらない「雇用柔軟型」(Cタイプ)の人たち。大多数の非正規はここに入る。このような即戦力重視の経営方針転換で、Bタイプが10年間減りCタイプが増えた。20 代後半から40 代始めまでが、想定外のCタイプの働き方になっているし、母子家庭の母親たちのCタイプ的働き方も、想定されていなかった。Bタイプがやせ細るから扶養関係が成り立たなくなり、Cタイプの人たちは、生計費を稼がなくてはならない。昔のワーキングプアと違って自立し、子育てをすべき年齢層、プロフィールの人たちが軒並み、Cタイプになっている。この間、フリーター全般労組や首都圏青年ユニオンの人たちと労働相談などで意見交換をしているが、その事例は極めて深刻だ。私も労働相談で感じる“深刻さ”を、“居場所”をキーワードにして考えている。労働は食い扶持の問題だけではなくて、価値ある営みをすることによって、それが
どこかから評価される、あるいは仲間内で評価しあって、そこで自分の居場所、アイデンティティが見つかる。労働とは、そのようなトータルな営みだと思う。ところが、かつて職場集団があった時代に、仲間内で承認しあう営みだったものが根底から崩れている。秋葉原の大量刺殺事件も、まさに居場所の問題が問われていた。1人の人格として承認さ
れる、あるいは承認しあう場所がないという問題が、のっぴきならないものとして出てきた。それは雇用政策とか、いままでの労働組合活動ではカバーできない問題であり、かなり危機的な状況が起きている。賃金でいうとCタイプをBタイプに戻していく必要があるが、Bタイプが1企業自己完結型では困難が伴なう。少なくても横断的で、社会化をしなければならない。企業が替わってもスキルが上がり評価されるシステム。そのような賃金制度のあり方がB、Cを考える場合、重要になる。雨宮処凛(あまみやかりん)さんたちは、次のように言っている。労働相談といいながら、中心になっているのは生存の問題。彼女たちのスローガンは「生きさせろ」だ。労働相談の形で語られるのは、住宅問題、借
金の問題、もっと言えば生き死の問題である。相談に来て仲間と会って「死なずに済んだ」という感覚でいるから、自分たちもその場を離れるわけにはいかない。まさに“居場所”が、当たり前のようにできつつある。これは、昔懐かしき言葉でいえば“相互扶助”であったり、あるいは “ディーセント・ワーク”。私は「19世紀的」と敢えて言っているが、世の中がここまで19世紀的状況になったのだから、労働組合は、原石に近いような活動が求められていると
思う。
中小労働運動「08 春闘の現状と問題点」
遠藤一郎さん、片桐晃さんを招き議論を深める
5月12日に行われた「現代の労働」研究会5月例会は、全国一般全国協議会の遠藤一郎書記長、関東化学一般の片桐晃書記長が報告者。お二人による中小労働運動の「08 春闘の現状と問題点」の提起と討論を行なった。
■ 極端な二極化がすすむ中小春闘
遠藤さんは08春闘について、次のような指摘を行なった。 今年の春闘の大きなひとつのテーマは「賃上げ闘争の再構築」はできたのかであり、もうひとつは非正規雇用の問題。「賃上げ闘争の再構築」については、昨年12月の御手洗経団連会長による“賃上げ容認論”、今年に入ると福田首相も「賃上げによるワーキングプアー問題、格差問題の解決を」との発言を繰り返したが、各企業や大手資本はこれらの発言を無視、低い水準で終わった。そうした中での中小春闘の特徴は、極端な二極化。業種別の格差を見ると、繊維、食品、ホテル、運輸、タクシーといった部門は深刻であり、例えば繊維では最賃の上昇を反映させるのさえままならない状況だ。一方、自動車、電機、鉄、造船をはじめ輸出産業にかかわる中小企業を見ると、この2、3 年、3 ~4千円の賃上げができるようになってきた。 こうした中でパートの時給引き上げはどうなっているのか。例えば月間労働時間172時間と設定した場合、フルタイムパートで連合集計の時給17.94円アップすれば3085円、全労連集計の 27.3円の場合は4700円の月収増となる。パート賃金の引き上げは重要だが、そのバックに昨年、最賃が全国平均で 14 円引き上げられたことを見ておく必要がある。14円× 172時間= 2008円で、これが底支えになっている。したがってパートや非正規労働者の賃金の引き上げは積極的な意味を持つが、同時に最低賃金引き上げの闘いの重要性も確認する必要があり、それをセットで取り組むべきだと思う。片桐さんの主張は次のようなもの。賃上げに関して前年平均と比較する意味がなくなっている。かつては大手でも中小でも、労働者が18歳から60歳までカーブを描いて存在していた。その場合、平均年齢が36~37歳になり平均賃金を算出することができた。ところが業種によっては15~16年、正社員を採用していない。20代後半から30代前半の労働者がいない中抜け状況なので、平均賃金方式は全く意味がなくなっている。
■ 労働組合運動の進むべき道
職種がバラバラだけでなくて、同じ職種の中で雇用形態がバラバラなのだから、賃金もバラバラですねということになっている。トヨタの場合には期間工のままで正社員にする、労働組合員にするという方向に行っているから、いよいよ労働組合も一国二制度と同様に、単一の賃金体系にはできなくなっている。ここが、今後の勝負ポイントだ。これらの要素は従来の労働組合の存在証明であり、これが成立しないというのは労働組合の危機そのもの。そうした中で、労働組合は年功型賃金から脱却して同一価値労働同一賃金を実現させること。また社会的に労働者のインフラが整備されていないと、賃金が下がって食えない労働者が出てくる。このふたつが労働組合のいく道だろうと思う。
(江藤 正修)


